電力料金が下がる期待とセット割りによる縛りの混乱

電力の小売り自由化は電力料金を下げる期待が先行しています。しかし、先行して自由化を実施した国の例では、最初は電力料金が下がったものの、やがて電力料金はむしろ高くなった例もあれば、この自由化がアメリカで大停電を引き起こした例も知られています。
日本では、こうした先行事例を参考にしながら、起こり得る課題に対して対策を講じた自由化だとされていますが、それでも価格競争がもたらす負の部分が心配です。
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自前の発電を実際に行う企業は、発電コストが従来の独占電力会社よりも実際に安い場合もあるでしょうが、実際は自前の発電比率は少なく、電力を購入し、その小売窓口のみを行いながら、料金が下がると言う所も多いのです。
こうした事がなぜ行えるのかを考えた時、それは現在の独占電力会社の儲けを縮小し、それを小売会社の新電力と消費者で分け合う場合と、電力では儲ける事は考えず、通信やガスやその他とのセット割りで顧客を囲い込み、電力以外で儲ける事を狙っている場合が考えられます。

 

このセット割りが曲者なのです。通信の分野ではスマホと光回線のセット割りで大手通信会社は消費者を囲い込んで来ましたが、これは料金の安いADSLから光回線への変更を促進し、ガラケーからスマホへの変更の促進効果を果たしてきました。
しかし動画をパソコンで見る家庭以外では、光回線のスピードは過剰品質でADSLで十分なのです。スマホは便利で、スマホがあれば本来は家庭の固定回線の使用頻度は大幅にダウンするはずなのです。そうなる事が分かりつつ、セット割りと言う餌をぶら下げて光回線の普及をも推進して来たのです。その結果、多くの家庭の通信費は大幅に増大し、政府が通信会社に指導すると言う状況に至ったのです。

 

こうした通信会社の、違法ではないけれど、無知な消費者を欺くような巧みな戦略に、電力とやがて自由化するガスが加わり、いつしかトータルでは高いものになっていると言う結果に陥る危険性を危惧しています。
セット割りは、各々のコストパフォーマンスに対する判断を消費者から奪う行為であり、消費者はより賢くなる必要があります。こうした事を考えた上で、本当に電力自由化の利点を享受したいものです。
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